PROFILE
- 大阪成蹊大学 芸術学部 三升体育平台 ファッション?コスチュームデザインコース4年生
- 石井 愛珠さん
石井愛珠さん
奈良県生まれ。奈良県立桜井高等学校卒業。
好きな色は、白。ついデザインする衣装も白を基調としたものが多くなってしまうそう。
また白菜も好き。白菜の葉の形に着想を得た模様を、胸元にプリントしたシャツを制作したことも。
「好きなことには全力で」それは今も昔も変わらないという。
ファッションデザイナーが描いたデザイン画をもとに、服づくりの設計図(パターン)を制作するパタンナー。アイディアを実際の形へと昇華させる、服づくりの一翼を担う職業だ。
芸術学部 ファッション?コスチュームデザインコース4年の石井愛珠さんは、狭き門とされるパタンナーに内定。大学4年間での成長と内定獲得までの道のりを聞いた。
小さい頃からの憧れだったパタンナーをめざして
「幼いころから、縫い物とファッションが好きでした」。
石井さんは、小学生のころからフェルトでマスコットをつくったり、ミニチュアサイズの洋服を縫っていたりしたという。
高校生になると洋裁部に所属。初めて人物サイズの服をつくった。
「型紙から服をつくっていく、その工程や完成したときの感動が忘れられなくて。好きなものを自分の手で形にする、こんな仕事がしたいと思い、パタンナーに憧れるようになりました」。
また、パタンナーに憧れるようになったのは、身近な人の影響も大きいという。
「叔母がウエディングドレスのパタンナーをしていました。叔母の学生時代のデザイン画や作品を見て、幼いころから憧れを持っていました」。
その方は、大阪成蹊短期大学の卒業生。そのことから、大阪成蹊大学?大阪成蹊短期大学に興味を持った。
「服飾に関わりたいと思っていたので、一度オープンキャンパスに行ってみました。先生方が親身になってお話を聞いてくださるところや、産官学で連携した授業が多いところなど、すぐに惹かれていきました。大学への思い入れが強過ぎてオープンキャンパスには7回くらい訪れています(笑)」。
そして、憧れのパタンナーをめざして、大阪成蹊大学への入学を決めた。
▲パタンナーへの憧れを笑顔で語る石井さん
4年生大学だからこその、さまざまな刺激を受けての成長
パタンナーをめざす人は専門学校への入学を選択することが多いといわれている。
「学校やコースにもよると思いますが、パタンナーやデザイナーなど、職種ごとに分かれて学ぶところが専門学校は多いように思いました。私は何かの分野に絞って学ぶのではなく、幅広く学びたいと考えていました。また、総合大学だからさまざまな分野の学生が集まっているので、そういった方々とも関わり合いながら自分を成長させたいと思ったのが、大阪成蹊大学へ進学した大きな理由です」。
実際、入学してみると、デザイン?パターンメイキング?縫製?テキスタイルデザインなど、さまざまな分野を学ぶことができ、将来の選択肢を幅広く持つことができた。
同級生の卒業後は、自身でファッションブランドを立ち上げる人、舞台衣装に携わる人、アパレルブランドに就職する人とさまざまだ。
「授業中の意見交換では、自分の中にはない考えが同級生から出てくるので刺激になっています」と、授業の他に同級生が成長につながっていることを石井さんは教えてくれた。
▲石井さんのデザイン画
▲白菜の葉の形に着想を得た模様を、胸元にプリントしたシャツを制作
川上准教授の指導が力に
また石井さんは、ファッション?コスチュームデザインコース主任の川上須賀代准教授の指導によって大きく成長できたという。
「レベルの高いところで仕事をされている先生方と出会えたことはとても刺激的でした。なかでも川上先生は、情熱的で親身になってくださる。迷ったときには、私の中からは出てこなかったようなアドバイスをくださる、大尊敬の先生です」と感謝と尊敬の想いを口にする。
一方で川上准教授は、彼女を4年間で大きく成長した学生の一人と話す。
「石井さんは、発想力、縫製技術、デザイナーの意図を汲み取る傾聴力?読解力に優れた生徒です。
週に1回程度、パターンメイキングの特別課題を与えていましたが、それらの課題をこなすごとに成長していきました」。
彼女の努力の成果をうれしそうに語る。
「彼女はまじめで強い。課題の中でもあえて難しい方向に進んでいく。それを諦めずにやり遂げる学生でした」。
▲4年間で大きく成長した石井さん
授業を通して学んだ「ストーリー」の重要性
授業の内容は、1年次はデッサンや一般教養が中心。
2年次は専門的な授業も増え、後期にはデザイン画を描き、パターンを引いて衣装をつくるようになったという。
3、4年になると特別課題も含め、いくつものパターンを引き、衣装の制作に取り組んでいった。
石井さんが特に印象的だったのが次の三つだという。
一つ目は、吹田市のキャラクター「すいたん」のコスチュームデザイン。「授業の一環で、数人のグループに分かれて取り組みました。私たちのグループは、市やすいたんとその周りに訪れた人が一緒になって楽しめるようなTシャツをデザインして提案しました」。
二つ目は、3年生展。1、2年次に培ってきた力を発揮する場だ。「私たちの年は『近未来』をテーマに黒と白を基調にしたデザインを制作しました。四つのグループに分かれ、『近未来』を表現するテキスタイルやシルエットなどを話し合い、制作に取り組みました」。
▲3年生展ではグループに分かれ「近未来」をテーマにコスチュームを制作
三つ目は、NPO法人DEAR MEと協働して行ったフィリピンでのファッションショー。家族の生計のために将来の機会が奪われてしまう、という貧困の問題に対して、ファッションを通じて「自分のために生きられる」社会の重要性を発信するもの。「実際にフィリピンに行きましたが、ショーの様子は感動的なものでした」。
▲フィリピンでのファッションショー 石井さん(前列左から4番目)
▲石井さんが担当した子どもの衣装
これら衣装制作に取り組む中で、技術的な面はもちろん、それ以外の面でも成長した。「一つひとつの服にはストーリーがあることを学びました。ストーリー性がないものはお客様に手に取ってもらいづらいというのを聞いたときは驚いたのを覚えています。コンセプト?デザインの意図や思い入れ、それらを理解することで、服づくりへの取り組み方、仕上がりも異なるものになると感じました」。
▲授業を通じてさまざまなことを学んだと語る
成長が実を結んだ就職活動
さまざまな面で成長し、憧れのパタンナーをめざして挑んだ就職活動。
石井さんが志望したのは、糸や生地から衣服づくりを行う企業。
試験は、1次で一般教養の筆記テストとデザイン画の制作、2次でパターンを作成する実技試験、3次では個人面接だったという。
試験に臨む前には対策に取り組んだ。
「実技試験では、時間や生地の量にも制限があります。パターンを引いて形にするまで、いかに効率良くできるのかをすごく考えていました」。
ジャケットやシャツなどのパターンを何回も繰り返し繰り返し。1次試験に合格し、2次試験までの約2週間はずっとパターンの練習。
その練習の成果、そして川上准教授からの指導が実り、狭き門を突破し内定を勝ち取った。
「2年次という早い時期から、デザイン画をもとにパターンに落とし込む練習をさせてもらえたのは、就職試験にとても生きたと思っています。専門学校ではパターンの授業日数は私たちより多いと思うのですが、大阪成蹊大学では短い日数でも凝縮した内容なので、他の学校の生徒たちにも負けない技術と知識が身に付いたのだと感じました」。
▲繰り返しパターンの練習をした
想いを形にするパタンナーへ
将来の目標について石井さんにお聞きすると、
「私はパタンナーは、ファッションデザイナーとその服を購入する人をつなぐ役割を担っていると思っています。デザインに込められた想いを形にし、お客様にも良いと思っていただける商品をお届けしていきたいです。また、これから技術の進歩により、さまざまな生地も生まれてくると思います。生地一つで服のシルエットは変わってくる。自分の技術や知識を常に蓄えていき、それらの変化にも対応して、クオリティの高い服を届けていきたいです」と教えてくれた。
川上准教授が、「4年生大学でもパタンナーにチャレンジできると勇気を与えてくれた。これからも在学生やパタンナーになりたいと入学してくる後輩たちの希望になって欲しい」
と話すように、これから成長を続けながら、パタンナーとしてたくさんの衣服を世の中に届けていく姿に期待したい。
大学、そして高校生の後輩たちへ
最後に、石井さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。
「自分が今挑戦したいと思うことがあれば、とことん全力で取り組んで欲しいなと思います。私自身も好きなことで頑張りたいと思い、取り組んできたことで、たくさん成長した部分があります。ぜひ、自分のやってみたいことを諦めずに全力で取り組んでみてください」。
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※在学生の表記は2024年11月取材時のものです。